コラム

2013-06-20

Q値を考える

建物の温熱環境の性能を表す指標として「熱損失係数」という用語があります。
「Q値」と言った方が、聞き覚えのある方が多いかもしれません。
新しい省エネ基準では「外皮平均熱貫流率(UA値)」というものに置き換わっていく流れなのですが、換気も含めた建物の全ての熱の流れを把握するためには、この「Q値」の把握は大切なものです。

熱というのは、水の流れと同じように、高いところから低い場所に流れます。
ですので、夏は(冷房しているとしたら)外から家の中に向かって流れます(熱の侵入)し、冬は家の中から外に流れます(熱損失)。
わかりやすい冬の場合で言うと、家全体から、全部でどれだけの熱の流れ出るのかを算出し、それを床面積で割ってあげる事で「熱損失係数=Q値」を出します。「床面積で割る」のは、同じ「1㎡あたり」に換算してあげる事で、大きさや仕様の違う建物での比較ができるようにするためです。

しかしこれがクセものでして…。
例えばこの図を建物としましょう。



1m角の立方体ですので、床面積は1㎡。表面積は1㎡×6面ですので、6㎡です。

次にこの図



さっきと同じサイズの立方体が横に2つ並びました。
床面積は2倍になって、2㎡になります。しかし表面積は、赤い壁が屋内になりますので、2倍にはなりません。
6×2-2=10㎡です。

建物の熱の流れは、熱の流れる場所(面の大きさ)によって増えますので、「床面積1㎡あたりの熱の流れる量」では、下の図の建物の方が有利となるのです。

実はこれ、人間のような恒温動物にも似たような現象があり、「ベルクマンの法則」と言います。
「同じ種であれば、寒冷地に生息するものほど大型化する」というものです。
日本人やメキシコ人、東南アジア人など、温暖な地域に住む人は小柄ですが、ロシア人やカナダ人は大柄なのは、みなさんご承知の事かと思います。大きくなればなるほど、体重あたりの表面積が小さくなるので、生命を脅かすほど寒い場所で暮らす人々は、大型化することで、体温の維持を可能にしてきたのですね。

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