コラム

2016-05-21

地方企業を活かす知財戦略…(15)

知的財産権の活用の仕方(Ⅰ)…ハード的利用

 前々回のコラムで、知的財産権は「利用」してこそ生きるものとして、「利用」の必要性と基本的な捉え方について書きました。
 知的財産権の「保護」については、いわば専門家任せにできるかもしれませんが、「利用」については、基本的に、自ら行うものであって、他人に任せるわけにはいきません。また、「利用」の仕方は色々であって、特に、大企業と地方企業(中小企業)では、利用の仕方も大きく異なってくると思います。
 このため、「利用」を身近に捉える意味からも、今回から数回に分け、知的財産権の「活用の仕方」について、普段から思っていることを書きたいと思います。
 私は、よくお客さんに対し、知的財産権の利用には、「ハード的利用」と「ソフト的利用」があると説明しています。特に、地方企業(中小企業)では、「ソフト的利用」が重要であるとも話しています。もちろん、利用の仕方は各社各人異なりますから、利用の態様を理解した上でケース毎に最もマッチする態様を選べばよいと思います。
 「利用」の態様をイメージで示すと、次のようになるでしょう。
 なお、このイメージや呼び方は、私が勝手に付けたものであり、正確ではないかもしれません。しかし、イメージしやすいと思いますので、これをベースにして説明します。
 今回は、「ハード的利用」についてです。コンピュータは、「ハードウェア」と「ソフトウェア」が組合わさって初めてコンピュータとしての働きをします。「ハードウェア」は、CPUやメモリ等を含むシステムの本体であり、特許の「ハード的利用」とは、「特許」の中核となる権利の効力それ自体を直接利用することを意味します。
 このため、「特許」そのものが、「強い権利」,「広い権利」であることなどが要求され、以前に書いた知的財産権のクローズ戦略に活かすことができます。
 つまり、特許(特許権)とは、その発明(技術)について、所有者本人のみが独占実施できる権利であり、本人が認めない限り他人の実施を排除できる権利です。
 したがって、利用の仕方としては、
  ◇ 独占実施により収益の機会を確保する。
  ◇ 他人にライセンス(実施権)を認めて実施料を得る。
  ◇ 他人の攻撃に対して防衛し、自らの実施を確保する(クロスライセンス等)。
  ◇ 特許権(財産)を売却して売却料を得る。
 などができます。
 しかし、特許権に対し、「強い権利」や「広い権利」をキーワードして見た場合、「その技術を使わないと製品を作れないコア技術」や「逃げ道がないように周りを囲う多数の周辺特許」などを連想します。
 つまり、「ハード的利用」は、最も重要性の高い基本的な利用態様ですが、どうしても大企業が相対的に有利になる側面があります。だからといって、「弱い権利」や「狭い権利」の特許を持っていてもあまり意味がないと考えるのは早計です。
 次回は、「弱い権利」や「狭い権利」であっても価値を見いだせる「ソフト的利用」、特に、地方企業(中小企業)にとって価値を見いだせる「ソフト的利用」について書きたいと思います。

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