コラム

2014-03-10

風呂でのヒートショック予防策

先週の信濃毎日新聞の記事から~ヒートショックご用心


この記事を見てみなさんは何を思うでしょうか?
他人事?
自分はならない!?

昨年1年間で県警が検視した遺体2467体のうち浴室で見つかった遺体は330体(全体の13.3%)
330体の内訳はその約90%が70歳以上の高齢者で冬場に多い。

遺体の特徴から、ヒートショックで死亡した遺体が多いと推測。
浴槽の中で意識障害を起こし溺れる、脱衣場や洗い場では急激に血圧が上がり、心筋梗塞や脳卒中・・・。



信濃毎日新聞記事



実はこの数字は死亡者数であって、浴室で倒れた人の数はこの何倍にもなるのではないかと思います。
軽度~重度まで幅はあるものの、生きている方のほうが圧倒的に多いと思います。

だれでもいつかは死ぬもの。ぴんぴんころりで寝ている間にいつの間にかが理想ですが、お風呂で裸のまま死ぬのは避けたいところです。出来れば家族に看取られながら、できれば布団の上で・・・。

この記事の中で予防策のひとつとして、鹿教湯三才山リハビリセンターの副医院長は、「足から上の方にかけ湯をするのも予防策になる」と述べている。
ダジャレとして述べたのか、予防策としてはとても頼りないと感じたので、建築の立場から抜本的に温度差の少ないお風呂の作り方をユニットバスを例としてお伝えしたいと思います。

風呂の肝はデザインではなく、断熱された空間の中にあるかどうか



風呂タイル張り

真冬一番風呂の壁面やサッシガラスの表面温度は氷点下の場合もあります。つまり氷の壁でできている空間の中に行くようなものです。血圧が高めの人や心臓に疾患がある方はできるだけ一番風呂は避けましょう。お湯と洗い場の床、脱衣室など温度差は相当なものです。

タイルやコンクリートで作られたお風呂は冷え切っています。経験と勘を頼りに浴槽に50℃近い熱いお湯を入れ、どのくらい時間がたつとちょうどいい湯加減になるかをその住人だけが知っています。むろん浴槽内のお湯は上の方と底の方で温度が全く違うのでよくかき混ぜないといけません。

実のところ、脱衣場で服を脱ぎ裸になり浴室へ行くが、お湯をかきまぜたり水を足したりしてお湯の温度調整に結構時間がかかっているのではないか、その間も洗い場床にお湯をかけて足の裏を楽にしたりと、裸になってから湯船に浸かるまでには3分程度の時間がかかっているのではなかろうか?その間体の熱はますます奪われ、結果として温度差はますます大きくなっている、そんな風にも想像できます。

そんなに面倒な作業ではありますが、私たち日本人は毎日入浴する習慣が根付いています。
入浴を否定するつもりは毛頭ありません。様々な効用が期待できますし、特に冬の露天風呂、私も大好きです。
しかし温度差により血圧が急上昇あるいは急降下して病気をしてしまっては元も子もない。
足先からのかけ湯がどの程度効果的かはわかりませんが、抜本的には出来るだけ温度差のない室内環境にすることです。温度差バリアフリーです。

ユニットバス入れ替え工事、いったいいくらかかるのか?


高断熱浴槽を持つ浴室入れ替えリフォームは当然お金がかかります。1坪程度の浴室で、既存の浴室を解体、サッシ交換、断熱、高断熱型のユニットバスの入れ替え目安は約100万円です。

これを高いとみるか安いとみるか・・・?

自分で動ける健康な体や、介護する人・される人がいない自由な時間の尊さを考えれば、決して高いものではないと私は思います。しかしすべての業者が温度差バリアフリーを意識した浴室リフォーム工事をしているわけではありません。

床下もぐる

「ユニットバス入れ替え工事を最近行い、暖かくなるだろうと期待していたのにとても寒い」
というご相談を受けて見に行ったお宅の床下です。
床下の冷たい空気が浴槽下に流れ込んでいます。これでは暖かいお風呂になり得ません。

ユニットバスを入れる前



ユニットバスの床下は断熱材で囲まれた屋内空間の一部としてください。
あらかじめスタイロフォームなどの断熱材で床を覆い、基礎立ち上がり部も当然断熱材を。
ユニットバスは金属製ボルトの脚で支えられます。ボルト脚位置にあたる断熱材をくりぬき、その穴には発泡ウレタンなどで補足できるとベターです。

ボルト脚

最善の予防策は寒くないお風呂・脱衣場にすること


「ヒートショック ご用心」って新聞に言われても、なかなか用心できないもの。寒いの分かっててお風呂行くんですもの。

最善の予防策は寒くないお風呂・脱衣場にすること。1週間ほど家のお風呂には入れませんが、長い闘病生活とその介護に費やす時間と労力を思えばなんてことありません。
ちなみにトイレでのヒートショック事故も相当数あるように思います。

性能が向上するリフォームに補助金が


介護保険制度を持続させるためにも病人を減らさなくてはなりません。受け入れる施設だって全く足りていないのです。
ようやくここにきて政府は重い腰をあげました。省エネ(断熱)や耐震改修など住宅の性能を向上する工事に関して、一定の補助金を与えながら自宅のリフォームを誘導する動きです(平成25年度補正予算=長期優良住宅化リフォーム補助事業を開始。平成26年度も引き続き募集がある見込み)。
今のところ上限が100万円、全体の性能向上リフォーム工事の1/3まで、というのが応募概略です。

寒いお風呂や脱衣場、トイレなんかでヒートショックで倒れて要介護になり、治療や介護で保険を使うというような対処療法ではなく、増え続ける介護保険料に対する抜本的な解決策としてこうしたリフォームを推進する動きがようやく始まったのかな、と想像しています。

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