コラム

2016-04-26

あきらめないで!耐震を。

熊本をはじめ九州地方の大地震により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。
なおも余震が続く中、車中泊でひと時も眠れず、体調を崩す人も多いと聞きます。
せめて一刻も早く安心して眠れる場所を確保していただきたいと思います。

「まさか自分がこんな目に遭うとは」
被災しただれもが、そんな風に感じていらっしゃることでしょう。
しかし日本には残念ながら「絶対に大丈夫」なところはないはず。

対岸の火事と感じている人は、ことが命にかかわることだけに、地震保険に加入するだけではなく、建物の構造で心配ならば対策をし、真冬ライフラインが断たれた際でも1週間程度は屋外で生活できるような準備はしっかりやっておくべきです。

連続の揺れを想定して設計をしていない


私たち建築士は、普段から耐震設計に携わる者として、耐震上の責任者として自覚し、より慎重にお客様の生活の基盤である住宅について検討してゆかねばなりません。
また現在耐震不足の家に暮らしている人々に対しても、営利目的一辺倒にならず、安心してお暮らしいただけるようアドバイスをし、できるだけ費用対効果をあげてゆく努力をしていくべきだと考えます。


皆さんもお聞きになっていると思いますが、熊本地震の特徴として、
「震度7もしくは震度6強が、立て続けに、連続して起きてしまった」、ことが挙げられます。

 信濃毎日新聞2016.4.24朝刊より

この規模は過去にもそうはない、とのことですが、たいていの巨大地震の際は震度5強~震度6弱程度の余震は必ずと言って起きています。
1回目に起きた大きな揺れによって生じた建物の歪みや損傷。
その部分が弱点になって2回目の余震で倒壊してしまうことが多いと聞きます。

私が扱う3次元での地震シミュレーションソフトウェアでも、被害想定を画面に映し出すことはできても、そこからさらに加振させることはできません。余震(今回は本震のほうがあとにきたそうですが)設計上はまったく想定していないのです。

そう考えると、耐震設計の方針は、「はっきりそれとわかる弱点箇所をつくらない」、ということが第一になってくると思います。
建築主の要望を丸ごと鵜呑みにして、後から構造をおっつけてゆく手法が主流になってしまっていると感じます。

営業段階で建築士が同行することなく、十分に構造を理解していない営業マンがプランニングを建築主としてしまい、会社に戻って設計部にラフプランを持ち込み、そこでさまざまな構造的弱点が露呈し、建築士も営業マンも困惑する、などという場面が想像できます。

弱点があればそこからほころぶのが構造というもの


阪神淡路地震以降、耐震性能は、”バランス”を重視してきました。偏心率とか四分割法と呼ばれる設計手法です。

今後震度6~7程度の揺れが複数回起こる、ということを前提にすると、損傷や倒壊を免れたいのであれば、耐震性能は3(現行の建築基準法で定める最低基準の1.5倍)をクリアし、バランスはもちろんのこと、できるだけ弱点となる部分をつくらない、という方針が歓迎されてゆくと思われます。



木造住宅で弱点になりやすい箇所をいくつか挙げますと、
・1辺が4m以上のおおきな吹き抜け
・建物の角にある吹き抜け
・大きな窓があり壁が少ない居間
・12畳以上の大きな部屋

こう書き連ねると、ご不安になる方も多いはず。LDKが一体になる昨今の”ひろがり間取り”では、ほとんどの家でこうした条件に当てはまってしまうのではないでしょうか。



新築で住宅を建てる際、今後はこれらの弱点を克服するために構造計算を必ず行うべきでしょう。
その家の弱点をあぶり出し、そしてどう対処していくかを検討すべきです。

昭和56年以前にに新築した方はまず耐震診断を!


「いざ自分の身に降りかかってこないと、なかなか行動を起こせない」 
「その時はその時。あきらめるしかない」
そんな声もしばしば耳にしますが、他人事ではなく、自分事としてまずは真剣に考えてみませんか?

「あの時やっておけばこんな風にならなかったのに・・」
そうならないためにもまずは耐震診断を。
無料で診断をしてくれるところも多く、(とはいっても税金を使っているのですが)こんなにありがたい国があるでしょうか。
そう考えると巨大地震に備えることは、いまや日本国民の義務だといっても過言ではないでしょう。

いまこの瞬間に起きてもなんら不思議ではないのです


長野市に住む私は、東京や東海方面などに出張するとき、少し緊張しています。首都直下型地震などが高確率で起こる予測がありますから、半分開き直らないと新幹線には乗れません。

とはいえ専門家によると、長野県の中信地区には牛伏寺断層があり、
 「もう直下型地震がいつきてもおかしくない」状態だそうです。



また、静岡~糸魚川を横断するフォッサマグナと呼ばれるプレート境界もひずみをため込んでおり、今後30年以内に相当な確率で巨大地震が襲うと予測されています。

耐震等級2が一つの目安になります


「どの程度まで地震に強い家を目指せばいいのか?」
というご質問を最近設計をしているお客様から多くいただきます。

建築業界では、耐震等級というもので判断をします。最高等級は3です。
等級3は、震度6強~震度7程度の地震でも大きな損傷がないレベル。
それでも現行の建築基準法で求められている必要最低耐震性能の1.5倍程度です。もっと強くすることは設計上当然可能ですが、間取りや窓の大きさや位置も制限がグンと厳しくなってきます。
ちなみに耐震等級2は、1.25倍の強さです。

既存の建物で耐震等級3を達成する補強工事はなかなか難しいのですが、柱の位置や壁の量、壁の種類だけでなく、建物全体の壁バランス、屋根の種類や、土台など劣化している部分の診断など、総合的に判断し、まずは、大きな弱点・欠点を解決することが肝要だと感じています。

旧来からの木造在来工法は、南側にずらりと窓が並び、2階の外壁の直下に壁が少ないなどの問題を抱えている場合がほとんどです。

地震によって揺れる方向や周期にもよりますが、テレビから映し出される倒壊の様子も、やはり壁の少ない南側、つまりその建物の最大の弱点箇所からゆがみ、ねじれ、南側につんのめるようにして倒れていることが多いと感じます。

現代はコンピューターを使って、家の情報を入力し、震度7程度の地震を想定して画面上で建物を揺らすシミュレーションができます。

ゾッとする結果になることもしばしばですが、弱点部分に壁を追加したり、既存の壁を更に強くすることで、思った以上に簡単に倒壊を免れる建物にすることができます。

私が所長を務めるリボーンの設計事務所では、昭和56以前の耐震性に劣る木造住宅を、現行の耐震基準にまで引き上げる耐震改修工事に積極的に取り組み、併せてサッシや天井・床の断熱強化を図ることにより、室温のバリアフリー化、省エネ化に貢献しております。
ご心配な方はぜひ一度Reborn塩原にご相談下さい。

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塩原真貴

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