コラム

2013-12-09

エネルギー問題、家庭で出来ること多し。一人の百歩より百人の一歩を。

2020年までに、すべての新築住宅がかなり高いレベルで省エネ性を持たせるべき、という国家方針が決定されています。
みなさんは「次世代省エネ基準」という言葉を聞いたことがありますか?平成11年(西暦1999年)、国は21世紀にふさわしい建物の断熱性能の基準の引揚げを図りました。全国を市町村単位で地域分けし、その地域にふさわしい断熱性能の程度を値で示しました。Q値(キューチ)というのがそれです。Q値は家の中から外に逃げる程度を示す値で、数字が小さければ小さいほど、断熱性能が優れているといえる数字です。各メーカーはその基準をクリアするべく断熱材に注目が集まりましたし、建築主側からすると建築業者選定の際、その家が持つ断熱性能の物差しとして判断材料の一つに加わりました。「次世代」という言葉使いがいかにも未来的指向で、大変優れた基準をもつものだとイメージされがちですが、今やこの基準は最低限(・・・)の(・)基準(・・)にかわりつつあります。

その裏側には、実はなかなか気づかない盲点があったのです。消費向上、国家成長継続が今後もずっと続くことが背景にあったのかもしれません。

各ハウスメーカーは「高気密高断熱、次世代省エネ基準クリア」と商品に銘打って、その省エネ性能を訴えました。全館冷暖房で、部屋中どこにいても暖かい。中には厳寒期に裸足でTシャツ姿の様子を写真で示した会社PRまでなされるようになったのです。
また一方では「省エネ性能を断熱性能だけで計るのはおかしい。太陽光発電やヒートポンプなど省エネ設備で省エネ性能を同時に持たせることもできるはずだ」という声も大きくなってきました。日本はこのあたり、世界でもトップランナーですからね。

そんな中、日本全体のエネルギー消費量は減っているのか。答えは“NO”です。先の東日本大震災で、私たちは「エネルギーというものに対する考え方を改めなくてはならない」ということは理解したといっていいでしょう。計画停電で生活スタイルが影響を受けるのは嫌ですから、みなさんも相当節電に努めたはずです。しかし相変わらず消費されるエネルギーは減っていく方向になりません。なぜでしょうか?このことは国民の一人一人が自問してみる必要がありそうです。


次世代省エネ基準をクリアした住宅を建てたからといって、家庭での光熱費が減るとは限りません。もともと基準のレベルが低すぎたのか、適切な断熱気密施工がなされていないのか、全国の家庭部門におけるエネルギー消費量は年々高まっていくばかりです。もちろん家電製品の普及拡大や生活スタイルの多様化、大家族の減少などの要素も多分に影響していることだとは容易に想像できます。
私の試算では、延床面積35坪程度の、次世代省エネ基準をぎりぎりクリアした住宅を長野市で新築した場合、その暖房エネルギー消費量は、灯油換算で約1000リットルです。灯油1リットル=100円とすると、暖房だけで約10万円も1シーズンの冬にかかるということです。さらに給湯で灯油ボイラー(またはガスボイラー)を用いる訳ですから、4人家族の場合は年間で暖房と給湯で約20万円程度かかると試算できます。
「うちはオール電化で暖房は蓄熱暖房だし、給湯はエコキュートだから関係ない」そんな声もよく耳にしますが、料金の安い深夜電力は、原子力発電あってこその料金設定であることはご理解いただいているでしょうか?深夜電力の低料金メニューは今さら変更もできず、その安いはずの電力は、実は3~4倍も高い発電コストでまかなわれています。高い天然ガスを資源国から仕入れ(当然値切れない・・・)、火力発電によって私たち家庭まで送電されているのです。いつまでも続けられる料金体系であるはずもありません。

「このままではだめだ」そんな意識の高まりを受けて、より高いレベルでの省エネ性能を建物に求めてゆく、さらに自然エネルギーを積極的に導入するよう、建築主に対して「導入の検討」を義務化する、そんな動きがようやく始まりました。

新築する建物は義務化していく方向が決定的ですが、既存の建物はその対象ではありません。新築する予定のない皆さんご安心ください。いや、お待ちください。安心しないでください。
日本のほとんどの住宅は、断熱材が入っていても全く効いていません。灯油やガス、電気をガンガンに使って暖房しますが、隙間だらけで、一向に暖かくなりません。断熱材も壁や床、天井に有ることはあるのですが、逃げていく温風は外にどんどん逃げていきます。実際、断熱材がきちんと入っていない場所もたくさんあるでしょう。しかし今さら目で確認できません。確認のしようもありません。これではまさにザル状態です。高いエネルギーを買わされて、燃やして大気中にすぐに捨ててしまう。いくら暖房をしても家の中が寒い、温まらないということは、ある意味、罪(・)な行為です。

 昨年、長野県は全国に先駆けて、『平成26年度より、すべての住宅の新築または建て替え行為に対し、建築主に対し、予想されるエネルギー消費量の提示と省エネルギーの導入の検討を義務化』することが条例化されました。
 住宅の建築に関わる技術者としては当然だと思いますし、日本の未来を見据えた場合、必要なことだと感じます。一方で扱いの難しい既存住宅に対する法制化は見送られました。国も県も、ある意味あきらめているようです。既存住宅の場合、構造体の寿命を勘案しなくてはなりませんし、断熱改修を実施できる技術者もほとんど存在していません。残念なことです。

【すぐに出来そうで、大幅なエネルギー削減が見込まれる工事】
・電気温水器を断熱材で囲う。(電気ポットは普通外に置きませんよね)(10万円~)

温水器を断熱材で囲う

・室内の熱がバンバン逃げている窓にペアガラスの内窓をつける(10万円~)

内窓取り付け

条例ポイント①

条例ポイント②

条例ポイント③






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塩原真貴

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TEL:026-274-5485

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