コラム

 公開日: 2017-11-02  最終更新日: 2017-11-07

板張りの外壁と塗装、メンテナンスコストについて考える

「営業マンのxxさんは10年に一度でOKと言ってました!」


これは私が10数年前に務めていた会社で建てたお客様が仰っていた言葉である。
当時現場の担当者だった私は思わず絶句したのを今でも覚えている。

「ウエスタンレッドシダー」と言う樹種をご存じだろうか?

米杉とも言われ、日本の杉とはだいぶ違う独特の香り、殺菌作用もあり、腐りにくい木で、北米では高級な材木として有名で、日本でも建築業界の人なら誰でも知っている高級な材種だ。
そんな高級で高耐久と言われている材を家の外壁に張る事を売りにしている会社、いや、それだけでなく、内装のドアや、天井、家具に至るまでその高級なレッドシダー材を使った家に当時携わっていた。
確かに腐りにくい材ではある。しかし腐らないことはないし、外壁に使えば当然の事として塗装は必要だ。
問題はその頻度。
当時の私の認識でも最低でも5年に一度は塗りたい。そう考えていた。

足場代、塗料代、塗装手間…
最低でも7~80万円は掛かる。仮に10年粘ったとしてもその10年でそれだけのメンテナンスコストが掛かる訳だ。
どうでしょう?
あなたはそれでも板張を選びますか?

仮に平屋で、屋根勾配も緩く、足場が無くても自分で塗れるデザインだったとしても、塗料だけでも10万円近いお金が掛かる訳で、普通の子育て世代のはじめてのおうち作りでそれを選択出来るのはほんの一握りの優秀で高収入の方だけになるだろう。

シダーの外壁

こちらはグリーンの塗装がとても綺麗で、弊社を知らない人からも「あーあの家は御社だったんですね」と言われるデザインも評判のカントリーテイストのおうち、これが実はウエスタンレッドシダーの外壁だ。

これは弊社の棟梁のおうちで、そんな塗装の手間も1つの良さ、おうちのメンテナンスは当然の事!と言う発想でせっせと頻繁に塗装して良いコンディションを保っている。これはこれで分かっていてやる分には何も問題ないし、むしろ本来はおうちの手入れに手間暇をかけるべきかもしれない。愛着も一層沸くのは想像するに容易い。

「ウッドロングエコ」を試してみる


「小川耕太郎∞百合子社」と言う面白い社名の会社が扱っている「ウッドロングエコ」なる商品をご存じだろうか?

私が自邸を建てる時、板を張りたい気持ちも強かったが、上記のメンテナンスをやる自信も無く、悩んでいた時に出会った夢の様な材料で、これは塗料とは違って「木材防護保持材」と呼ばれている。
不思議な粉を水に溶いてゴミの入った水の様な液体を作り、それを木材に塗ると木の耐候性が高くなると言うものだ。木が変色して独特の色になる。これによる変色が嫌な方にはおススメ出来ないが、最終的にその板を土に還す時が来ても「無害」と言うところがポイントらしい。因みに塗った直後には殆ど材の面には変化が無く、塗り応えはあまりない。
「本当にこれで良いのだろうか?」と思いながら塗った事を今でも思い出す。

木材が変色するのには時間が掛かるが、1日、1週間、1ヵ月と木の材自体の色みの変化(変色)が起こり、徐々に良いアンティーク調の色に木が変色してくる。我家も半年程ですっかり良い風合いになり、古いおうちの風格に、時間を重ねたおうちの様な見た目になってしまっていた。

ただ、注意が必要なのが、例えば施工後に発生した割れ目など。当然無防備になり、そこから腐朽が進むリスクはある。
分かってはいるが、毎回毎回その割れ目を見る度に「まだ大丈夫だよな・・・」と思いながら何もせずにいる。
因みに私の自邸以降、たくさんのお客様に説明はしてきたが、やはりその見た目が敬遠されるのか?採用の実績はリフォームの1件しか無い。こちらが新築の時の写真。

ウッドロングエコの外壁

肝心な事なのでお伝えしておくが、私自身は今の見た目も含めて何らメンテナンスもせずに今に至っている状況、見た目の古ぼけた感じ、共にとても満足している。メンテナンスを怠っているのは軒もしっかり出ていてあまり雨も掛らない設計になっているので「大丈夫だろう」と高をくくっているのだ。塗るのはとても塗り易く、自分でやったりするには個人的にはとてもおススメの材料である。

「防腐注入処理」を見直す


木材の防腐処理、25年位前までは大工さんがよくコールタールの様なこげ茶の防腐剤「クレオソート」と言う液体で塗っていた。私も当時、大工さんとして塗った記憶がある。実は後で有害物質で使用がNGとなり、今でも存在するがその成分は変わったらしい。世のベテラン大工さんはみんな覚えているだろう、散々塗ったものだ。どれだけ体内にダメージがあったのか?想像すると怖いが、大工さん達が早死にしたりしていないところを見るとそんなに大きな影響は出ていないのだろう。

そんな時代から、すっかり防腐処理は変化して現在は大きなロケットの様な窯に木材を入れ、その窯に蓋をして圧力をかけ、防腐の薬剤を加圧注入している。同じに見えて薬の成分に違いもあり、又、木材の種類や乾燥状態によってその薬剤が浸み込み易かったり浸み込まなかったりするらしく、皮肉な話、木材の素地で対候性の高い樹種の方が薬が浸み込みにくかったりして逆に弱い性能しか出なかったりするとのこと。弊社では「杉の中温乾燥材」に注入した材を主にウッドデッキなどには使っていて、これのお蔭でご予算の都合などによってはウッドデッキは塗装無しで、注入のままで済ませたりしている。
話しによると中温乾燥によって発生する細胞組織の状態が薬が浸み込み易い状態とのことで、そんなこだわりで作られている材料なのだ。
ホームセンターにも同じに見える材料は売ってはいるが、材は薬が浸み込みにくいスプルースと言う材で、乾燥のさせ方、薬の成分も強いのか?疑問である。

福杉防腐注入の外壁

注入する薬品には「銅」の成分が含まれていて、最初は緑青(ろくしょう)、銅の成分が酸化して発生する緑色が強く出て木材は深緑色になる。これが風雨に晒されて、日光の光を浴びるとだんだんと色が抜け、茶系の近づき、最期はシルバーグレーになる。ただ、先程のウッドロングエコとの違いは木の内部に薬の成分が浸み込んでいる点、このお蔭でより腐朽に対して心配する必要性は低くなる。大きな断面だとどうしても芯の部分に薬が浸みていない部分があり、そこから腐るリスクはあるものの、その点に注意すれば夢の様なフリーメンテナンスのウッドデッキが出来たり、板張りの外壁が出来たりする。

弊社では外壁に何棟も既に実績があり、それぞれのおうち、経年での色の変化が様々に出ている。

外構に柱材を注入処理して土に埋めた例もたくさんあるが、この場合、予め柱を切断して埋める状態にカットして、それで窯に入れて注入している。順番を誤ると腐ってしまうリスクが高いためである。

さて、その薬剤、現在の毒性は?どの程度なのか?

「歯磨き膏程度」

これがメーカーさんからの答え。
「あなたの口に入れているものと同等なので、どうですか?」
確かにそう言われると大丈夫な気がする。
それを証明する意味でもその会社の社屋では室内の柱にも注入材が敢えて使われている。
大工さん達は冒頭記したクレオソートの頃からの嫌な防腐材への印象があるので、部材を切断した時のオガ屑すら敬遠し、手袋をしたりする方も多いが、実は極めて危険性は低い。
我々も社内研修でその話を聞いた時、一様に驚いてそのことを聞いた。

木に割れが発生してもその内部まで薬が浸みでいれば問題無し!

ここがウッドロングエコよりも更に安心出来る点。
玄関廻りの柱や梁などもその形に刻み、それから窯に入れる様に手配をしており、そのままでの色で許容出来る、又は好きと言う場合はそのまま、やはり茶色にしたい方の場合はその上で塗装をしている。
この塗装が劣化してくる頃には素地のグリーンもすっかり抜け、許容出来る風合いの色あいになっていて、お施主さんさえ見た目を気にしなければ精神的に「塗らないと・・・」と言う重圧を感じることなく、又、塗装の費用負担も無く、いられる訳である。

福杉プラス塗装の外壁

こちらは一番手を掛け、お金を掛けたパターン。防腐注入処理+塗装。

2017年12月2日~3日にこちらの外壁のおうちの新築現場見学会がある。
詳しくはイベントページをご覧頂きたい。

私のおススメ、これをまとめると・・・
新築時自分で塗ったりしてコストを落としたいのであれば「ウッドロングエコ」それに深い軒
そうでなければ「防腐注入処理材」を使うことがおススメである。

メンテナンスコストを考えて板張りを諦めてしまっていた方には是非、考え直して頂きたい!!

この記事を書いたプロ

株式会社スペースウェアハウス [ホームページ]

建築家 醍醐英治

長野県松本市平田西1-2-16 [地図]
TEL:0120-29-1899

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
信州の暮らしコンシェルジュ!家計に優しい家づくりのプロ 醍醐英治さん

コミュニティに寄り添い、顧客に寄り添う。あなたの暮らしコンシェルジュが安曇野で暮らす喜びをご提案(1/3)

 「一見、最新設備を備えている住宅は良く見えますが、お子さんの進学などでお金が掛かる10~15年後、多額の設備更新費用やリフォームが必要になる事も多く、新築時の選択が実は重要です」と語るのは、松本市「株式会社スペースウェアハウス」の常務取締...

醍醐英治プロに相談してみよう!

信濃毎日新聞 マイベストプロ

顧客のニーズに合わせ、将来を見据えた家作りの適切なアドバイス

会社名 : 株式会社スペースウェアハウス
住所 : 長野県松本市平田西1-2-16 [地図]
TEL : 0120-29-1899

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

0120-29-1899

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

醍醐英治(だいごえいじ)

株式会社スペースウェアハウス

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
建築業者では教えてくれない〝住宅計画″セミナー
イメージ

 誰もが不安な資金計画 今日の新聞折込にタイトルにあるチラシを見付けました。実は弊社にも声が掛かった団...

[ 資金計画 ]

高耐久外壁「樹脂サイディング」と言う選択
イメージ

 シェアはとても低い外壁材ですが・・・ もしかするとこの松本平でも片手で数える程度しか扱う会社が無いの...

[ 家作り ]

電線地中化の街並み
イメージ

 安曇野らしい風景を守る価値 弊社の創業者がイメージした分譲地のあるべき姿・・・それが「電線地中化の街並...

[ 土地・不動産探し ]

コラム一覧を見る

コラムのテーマ一覧
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ