コラム

2015-09-17

窓の役割と断熱・気密 性能

 前回までに、暑さ寒さを和らげ省エネ性を高めながら快適に過ごせる住まいについて考えてみましたが、今回は、その中で重要な役割を果たしているサッシ(外部建具)についてふれてみたいと思います。

 基本的な窓(外部建具)の役割は、暑さ寒さ風雨を防ぎ、有害な外気、騒音の侵入、外敵の侵入など、家の外と中の空間を遮断することです。

 近年国内でもペアガラスサッシ(複層ガラスサッシ)が、断熱性の高いサッシとして採用率が高まっています。
複層ガラスサッシと熱伝道温度変化イメージ
 ペアガラスサッシは、「ガラス+中空層+ガラス」の組み合わせで構成されていて、ガラスとガラスの間の中空層が断熱性能を高めるための決め手のひとつになります。そのため単板ガラスサッシとペアガラスサッシでは断熱性能は大きく違ってきます。
 この空間に、空気より熱伝導率の低い気体(例えばアルゴンガス)を注入することでさらに断熱性能を高めることができます。ガラスとガラスの距離を大きくすることでも(ガラス間の放射熱を抑え)断熱性能を高めることができます。
サッシの仕様と性能
 また、ペアガラスをトリプルガラス(3重ガラス)にグレードアップすることで中空層数が倍になり、断熱性能はさらに高まります。
素材の伝道率
 ガラス3枚+中空層2つの組み合わせを工夫して、使い勝手に合わせ、望む機能を持たせることが可能です。
 例えば、万が一ガラスが割れた場合、ケガなどの可能性を少なくするために、樹脂フィルムを2枚のガラスで挟み貼り合わせ、割れにくくまた万が一割れた時でも、飛び散ることを防ぐことができるガラスの組合わせがあります。これは悪意の侵入者の可能性も減らすことができます。
またガラスの中空層側に反射効率の高い皮膜を施したりし、遮光性を高め西日対策などに使用することもできます。ガラスそのもに厚さを持たせ、遮音性を高めることもできます。

 これらは理論やアイディアをお伝えしているのではなく、現在すでにサッシメーカーのサービスとして実在しています。ユーザーのお好みのサッシが使えるのです。
 さて、断熱性を高めるためには気密性能の向上や、枠の断熱性能向上も必須の要素です。
ガラス面の断熱性能が高くても、外側のサッシ枠と中側の開け閉めする時稼働するガラスを囲む枠との気密がしっかりしていなければ、そこから空気とともに熱が移動しやすくなります。

 現在国内で多く使用されているサッシは、日本の伝統的な住宅で使用されてきた、障子や襖の流れを引き継いだ横引き構造のサッシがほとんどです。しかしこの横引き構造は、枠と枠を滑らさなければならないため車輪などが組み込まれ、気密を高めるには不向きな構造です。

 気密性能を高めやすい構造のサッシには、4辺のうち1辺が蝶番で固定されていて、サッシ枠全面にパッキンを設け、プレスしながらロックすることで、気密性が高めたサッシがあります。
 例えば同じ方式の自動車のドアを車内側から閉めると、閉まる時に一瞬車内の気圧が高まることを感じることがあるほどの気密性があり、走行中でも風雨から車内を守ります。
DPQ-82Thermo
 近年国内でも少しづつこのような構造のサッシが使われるようになっています。この中のひとつに比較的ポピュラーなドレーキップという方式のサッシがあります。
これは次の図の通り、2方向の開閉方向を持ち、セキュリティー性を保ちながら換気ができ、横開きの全開モードでは、ガラス面の外側の拭き掃除が容易にできるなどの便利さもあり、使い勝手が良く、加えて気密性能が高められているので省エネや快適性においても理にかなっています。

 リビングルームなどに多く使用される、床面まである大きなサッシで、人の出入りが可能なサッシがありますが、これらのサッシも同様に気密性能を高める機構が施されているものが省エネ性能向上には効果的です。

 窓(外部建具)はこのように、内側と外側を遮断するという最も基本的な役割を持つ一方で、屋外と室内をつなぐという相反する基本的な役割を同時に課せられています。
窓は大きい方が光を多く取り込めますし、景色も家の中からより広く眺めることができるので、断熱性能向上とは相反して、大きな窓が望まれることが多々あることも現実です。

 これらを同時に満たすことは簡単なことではありませんが、簡単ではないからこそ、逆にさまざまな想いを込めることができる、住まいの中でも特に希望に満ちたツールでもあると思います。サッシについては他にも多くお伝えしたいことがありますが別の機会にしたいと思います。

この記事を書いたプロ

株式会社ヴァルト [ホームページ]

建築家 小野治

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